capture 1 追う者と追われる者

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―2011.1.12. 23:00―Los Angeles  深夜の広域貯蔵倉庫に、数人の走る足音が響き渡っていた。無論、関係者であるはずもない。その何者かの息遣いは荒く、冬の冷気に晒された息は白く、高く宙に舞って消えてゆく。その直後、銃声と思しき音が2度唸り、その弾の弾き返される音が、どこからともなく聞こえてきた。 「チッ!なんて素早い女だ!」 カーキ色のダウンジャケットに、Gパン姿の大男が舌打ちした。 「諦めんの早えーぞ。あいつをとっつかまえて帰りゃ、明日から一生働かねーで暮らせるってのによぉ。」
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