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家族の思い出
「美愛~。遅刻するよー」
「あ、待って」
あたしは今、寮生活を送っている。
両親が事故で亡くなって丸2年半が経った。
今は寮生活に慣れてきたけど今でもあたしは両親を想い続けてる。
とても優しかった母。
お弁当にいつもあたしの大好物を入れてくれた。
怒ると怖いけどそんな母が大好きだった。
父は休みの日、いつも旅行に連れて行ってくれた。
たまにお小遣を『お母さんには内緒だぞ』っていっぱいくれたっけ。
あたしには3つ上の兄がいる。
今は東京で彼女と住んでいるらしい。
そんな家族がいる中であたしは笑顔で生きていた。
でも、そんな幸せな日々は長くは続かなかった。
高校1年の冬。
あたしはいつものように学校へ通っていた。
母と父は久しぶりにデートに行くと行って出て行った。
そして昼休み、あたしに一本の電話が入る。
『あ。神崎美愛さんですか?』
「そうですけど…」
『今、あなたの親御さんが事故に遭い病院へ運ばれて行きました』
あたしは言葉が出なかった。
あんなに元気で優しかった母が…。
あんなに笑ってていつもどこか連れて行ってくれた父が…。
病院へ行くとふたりの意識はなかった。
今までありがとうって。
すっごく助かってたよって。
いっぱい言いたいことがあったのに。
もう言えない。
言うことができない。
母と父はあたしと兄を残して天国へ旅立って行った。
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