家族の思い出

1/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ

家族の思い出

「美愛~。遅刻するよー」 「あ、待って」 あたしは今、寮生活を送っている。 両親が事故で亡くなって丸2年半が経った。 今は寮生活に慣れてきたけど今でもあたしは両親を想い続けてる。 とても優しかった母。 お弁当にいつもあたしの大好物を入れてくれた。 怒ると怖いけどそんな母が大好きだった。 父は休みの日、いつも旅行に連れて行ってくれた。 たまにお小遣を『お母さんには内緒だぞ』っていっぱいくれたっけ。 あたしには3つ上の兄がいる。 今は東京で彼女と住んでいるらしい。 そんな家族がいる中であたしは笑顔で生きていた。 でも、そんな幸せな日々は長くは続かなかった。 高校1年の冬。 あたしはいつものように学校へ通っていた。 母と父は久しぶりにデートに行くと行って出て行った。 そして昼休み、あたしに一本の電話が入る。 『あ。神崎美愛さんですか?』 「そうですけど…」 『今、あなたの親御さんが事故に遭い病院へ運ばれて行きました』 あたしは言葉が出なかった。 あんなに元気で優しかった母が…。 あんなに笑ってていつもどこか連れて行ってくれた父が…。 病院へ行くとふたりの意識はなかった。 今までありがとうって。 すっごく助かってたよって。 いっぱい言いたいことがあったのに。 もう言えない。 言うことができない。 母と父はあたしと兄を残して天国へ旅立って行った。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!