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「…あ。美愛」
「ん?雄大…?」
「こんなとこで寝てると風邪引くぞ」
あ、あたし寝ちゃったんだ。
全然気づかなかった。
「あ、うん…」
「寮まで送るから帰ろう?」
「うん…」
あたしは言われるまま雄大の後をついて行った。
「ねえ、雄大は何で寮に入ったの?」
「俺は…。俺の親父がおふくろを刺しちまったんだ。奇跡的におふくろは助かったんだけど。親父はまだ服役中なんだ。そのことで殺人犯扱いされて。まあ、そう言われるのは当たり前だったんだ」
「どういうこと?」
「そん時さ結構荒れてて…。お前が刺したんだろって友達から先公から問い詰められて。そしたら笠原さんがあの寮を紹介してくれたんだ」
「笠原さんて大家さんの?」
「ああ…。お兄さん的な存在でさ。今でもすっげー助かってる」
そんな過去があったんだ…。
知らなかった。
あたしは…雄大のこと何も知らなかった。
わかってるハズだと思ってたのに。
こんなに傷ついてたなんて…。
あたしは何てことを言ったんだろう。
ごめん。雄大…。
ひとりで抱えてたんだね。
あたし知らなかった。
ホントごめん。
気づいてあげられなかった。
雄大はひとりじゃない。
ひとりじゃないよ…。
あたしがずっとそばにいるから。
だからひとりだなんて思わないで。
星を眺める雄大の顔はどこか切なく見えた。
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