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「俺はこの先もずっとひとりでいんのかな…」
「雄大はひとりじゃないよ。ひとりじゃない」
「え?」
あたしは雄大を優しく強く抱きしめた。
「雄大はわかってないよ。あたしってそんなに信用できないかな?」
「そんなことねぇよ」
「だったらもっと頼ってよ。あたしが力になるから。たとえ雄大がひとりって思っててもあたしはそんなこと思わない。だって雄大には家族がいるでしょう?あんたのお父さんがお母さんを刺したとしてもお父さんはお父さんなんだよ?」
雄大は何も言わなかった。
あたしもそれ以上は何も言わなかった。
「今日はありがとう。じゃあまた明日」
「おう。じゃあな」
あたしはドアを勢いよく閉めてその場所へ座り込んだ。
「雄大…ごめん。ごめんね」
「何でお前が謝んだよ」
「へ?」
雄大が息を切らしながら扉の前に立っていた。
何が起きたかわからなくてあたしはそのまま雄大を見つめていた。
「ゆ、雄大!?何で…ここに?」
「こんなことだろうと思って来てみたんだ。お前、俺のことで泣いてんじゃないかって」
「雄大はひとりじゃないからね」
「お前には負けるよ。大丈夫。俺には美愛がいるし三浦たちだっている。俺はひとりじゃない」
そうだよ。
雄大はひとりじゃない。
舞だって璃亜だって祐子だってクラスのみんな雄大のこと仲間だと思ってるんだよ。
あたしは自分にも言い聞かせるように何度も何度も同じ言葉を繰り返した。
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