あんただけのメイド

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あんただけのメイド

結局あたしは眠ることができなかった。 でもなぜだか気持ちは落ち着いていた。 雄大はぐっすり寝ている。 寝顔、かわいいな…。 不覚にもそのかわいらしい寝顔にドキッとしてしまう。 あ、そうだ。 いいこと考えた。 バッグからあたしはある物を取り出した。 それは…メイド服。 店長に頼んで借りたのをすっかり忘れていた。 あたしはそれを身につけて雄大に気づかれないようにそっと近づく。 「ご主人様。起きてください。朝ですよ。遅刻しちゃいますよ」 「ん…?だれだ?」 「俺だけのメイドじゃなかったんですか?」 起きたかと思えばまだ夢の中にいるんじゃないかぐらいな虚ろな目。 「おはようございます。ご主人様」 「お、おはようございます…」 「今日も学校ですよ。早く支度しましょう」 「え…。あ、学校か…」 どんだけ寝ぼけてんですか!! 学校か…じゃないでしょうが。 「ほら。行きますよ」 「待って。今日、学校休もう」 「え?でも…」 「いいから。それと着替えて。今から行きたいとこがあるんだ。付き合ってくれる?」 「了解しました。ご主人様」 あたしはいつもの服に着替え雄大とその行きたいとこへと向かった。 「ここは…」 コスプレが出来る専門のプリ機がたくさんあった。 「一度でいいから来てみたかったんだ。美愛に着てほしいコスプレがあるんだ。これ、着てみてよ」 そう言って差し出された衣装は…チャイナ服。 「これ…着んの?」 「お願い」 「いいよ。別に」 「ありがとう。美愛、そこに立って」 あたしは着替えて雄大の指差す場所へ立った。 パシャっ。パシャっ。 次々と撮影されていくあたしたち。 コスプレでプリクラなんて斬新だよホント。 でも、悪くないかも(笑) 「今度はあたしに付き合ってもらうよ」 そう言って連れて来た場所は大きな海。 車の騒音も人の声も聞こえないくらい静かな海。 あたしはこの海が大好きだった。 お父さんとお母さんが生きてた頃よく来たっけ。 懐かしい…。 まだあたしが中学生の時、砂に文字を書くのが得に好きだった。 だからあの頃のようにまた砂に文字を書く。 雄大×美愛一生一緒。 そう書いて雄大に見せた。 雄大は優しく笑ってた。 雄大の微笑みはまるであたしの父のようで。 またみんなで笑って過ごしたい。 あの日にもう戻れませんか? 奇跡があるのなら奇跡が起きてほしい。 あたしは幸せになれますか? この人とずっと一緒にいれますか?
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