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「お帰りなさいませ。ご主人様♪」
雄大が…雄大が…。
完璧アニメの世界に漬け込んでおります。
でも。かわいい。
あ、鼻血が…。
「あれってホントに柴本か?」
「そうなるよね」
「しかしすごいよね。あそこまでこなしちゃうなんて」
そりゃあオタクだもん。
あ、これはシークレット。
『柴本雄大はアニメオタクだ。』
なんて口が裂けても言えない。
完璧あたしも引かれるに決まってる。
「ありがとうございました」
最後のお客様が帰りあたしたちの文化祭は無事、大繁盛に終わった。
「お疲れ。しかし雄大までやってくれるとは意外だな」
「いや、文化祭楽しいっすね」
あの、雄大が…。
文化祭楽しいだと?
文化祭の魅力ってそんなあるか?
でも楽しかったからいいか。
「さてと。雄大、行くぞ」
「え?どこへ?」
「あんたの大好きなところ」
そう言って連れて来た場所は本場の『メイド喫茶』。
「萌え~♪」
あんた、キャラ変わりすぎ。
「何、食べたい?」
「オムライス」
「はいはい。すみませーん」
あたしが定員さんを呼び止め注文をした時、雄大が突然、変な話を持ち掛けてきた。
「なあ。美愛、ここで働けよ」
「は?あんた何言ってんの?」
「そしたら俺、毎日お前のこと指名してやる」
「いやいや、別に指名とかいらないし。それにメイドとか興味ないし」
何度説得しても雄大が折れることはなく結局、あたしが折れることになった。
あたしの嫌な予感は見事的中し、最初で最後の文化祭は最悪な文化祭となった。
そしてなぜかメイド喫茶でのバイトが受かりあたしは…。
「美愛ちゃん。指名入ったよ~」
「あ、はーい」
「美愛」
「お帰りなさいませ。ご主人様♪」
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