最悪の文化祭

4/4
前へ
/18ページ
次へ
「お帰りなさいませ。ご主人様♪」 雄大が…雄大が…。 完璧アニメの世界に漬け込んでおります。 でも。かわいい。 あ、鼻血が…。 「あれってホントに柴本か?」 「そうなるよね」 「しかしすごいよね。あそこまでこなしちゃうなんて」 そりゃあオタクだもん。 あ、これはシークレット。 『柴本雄大はアニメオタクだ。』 なんて口が裂けても言えない。 完璧あたしも引かれるに決まってる。 「ありがとうございました」 最後のお客様が帰りあたしたちの文化祭は無事、大繁盛に終わった。 「お疲れ。しかし雄大までやってくれるとは意外だな」 「いや、文化祭楽しいっすね」 あの、雄大が…。 文化祭楽しいだと? 文化祭の魅力ってそんなあるか? でも楽しかったからいいか。 「さてと。雄大、行くぞ」 「え?どこへ?」 「あんたの大好きなところ」 そう言って連れて来た場所は本場の『メイド喫茶』。 「萌え~♪」 あんた、キャラ変わりすぎ。 「何、食べたい?」 「オムライス」 「はいはい。すみませーん」 あたしが定員さんを呼び止め注文をした時、雄大が突然、変な話を持ち掛けてきた。 「なあ。美愛、ここで働けよ」 「は?あんた何言ってんの?」 「そしたら俺、毎日お前のこと指名してやる」 「いやいや、別に指名とかいらないし。それにメイドとか興味ないし」 何度説得しても雄大が折れることはなく結局、あたしが折れることになった。 あたしの嫌な予感は見事的中し、最初で最後の文化祭は最悪な文化祭となった。 そしてなぜかメイド喫茶でのバイトが受かりあたしは…。 「美愛ちゃん。指名入ったよ~」 「あ、はーい」 「美愛」 「お帰りなさいませ。ご主人様♪」
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加