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「………っ」
「イヤ、あの…雫ちゃん?」
「…………」
何故か…
なんでかわからない。
なんでかわからないけど涙が込み上げてきて私は泣いてしまった。
灰斗さんの顔を見て。
神夜さんの顔を見て。
私は涙が出た。
「気にしないで、下さい。で、も…私は…灰斗さんと神夜さんに殺しなんてして欲しくない、です。」
私は小さな声で、灰斗さんと神夜さんの顔を見てると辛くなったけどそれでも私はじっと2人を見て、ちゃんと言う。
「私が言うのは可笑しいけど、死神は優しい人がなっちゃダメ、です!あなた達は優しすぎる…。」
私はこの2人になら殺されてもいい。なんて思わない。
私はこの2人に…だからこそ、殺されるわけにはいかない。
この2人は優しいから。優しすぎるから。
誰も殺して欲しくない。
「気にするよ。だって雫ちゃんが泣いてるんだもん。
俺は…俺達はさっき灰斗が言った通り優しくなんかない。」
神夜さんはそう言うと灰斗さんを見た。
灰斗さんは俯いていた。
「…質問、してもいいですっ、か?」
私がまだ収まらない涙を必死に手で止めようとしながらそう聞くと神夜さんは「なに?」とニコッと優しく笑いながら言ってくれた。
「灰斗さんと神夜さんはなんで死んでしまったの?
なんで2人は死神になってしまったの?
なんで…なんで…あなた達はそんなに不器用なの…っ?」
最初の二問を聞いてるトキは2人もちょっと罰が悪そうにしていたが最後の一問を聞くと2人は意味わかんなそうに私を見た。
「意味、わかんないよ雫ちゃん。そんなコト聞いてどうするの?」
「いいから!お願い、質問に答えて下さい。」
神夜さんは笑ってる。
でもそれは作り笑い。
わかるよ。
こんなコト聞かれたくなかったよね。
でも…聞きたい。
どうしてなのか。
「俺等はなにも知らない。というかなにも覚えてない。名前も教えてもらった名前。ホントの名前かもわからない。だから、なんで死んだのか、どうやって俺等が死神になったのかもわからない。
…不器用なのは知らねぇ。元からこーゆー性格だから。」
そう説明してくれたのは灰斗さん。
ホントの名前かもわからない…。
ホントのってコトはもしかしたら偽名かも知れないってことだよね…?
死んだらいままでの…生きてた記憶はなくなっちゃうの?
…やだよ…そんなの。
寂しい、じゃん…。
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