*ホントは…*

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「私、なんで死ななきゃいけないんですか…?」 私はさっきの元気は無くなっていて、か細く、小さな声で聞いてしまった。 「…あ。いえ、なんでもないです!で、どっちがお兄ちゃんで弟さんなんですかっ!」 …聞くつもりなんてなかったのに……。 何聞いちゃってんの。 バカだな、私。 「俺は灰斗の双子の弟。」 ふた…双子!? イヤ、なんとなくそんな気はしてたけど。 だって兄弟って言ってもこんなに似てるのも可笑しいし…。 「そうなん「お前はあと、1年後に死ぬからその前に魂狩りをする」 そうなんですか と言おうとして灰斗さんに言葉を遮られた。 灰斗さんの言葉を聞き、私は驚きながらも灰斗さんと神夜さんの顔を見た。 灰斗さんは普通でいつもと同じ様に無表情。 神夜さんはなんだか悲しい…と言うか困った顔をしていた。 きっと灰斗さんは私の質問に応えてくれたんだよね。 でも…なんでかな。 悲しい。 「なんで……、です、かっ?」 「その理由、知ってるからココにいるんでしょ?」と言うように私は2人を見た。 私の言葉を聞いてか、神夜さんは俯いて、何も言わず黙ってしまった。 神夜さんは優しいね。 こんな優しい人がなんで人を殺さなきゃいけないんだろう…。 灰斗さんも一瞬悲しそうな顔をした気がしたけど直ぐに無表情になった。 ホントは…灰斗さんも優しいのかもしれない。 …けど、私…まだ死にたくない。 「2人…を、困らせる…っ…、つもりなんて、なかったのに…なっ。」 私は泣きそうになって声が鼻声みたいな声になってしまったけど、泣くのは堪えた。 そして、出来るだけ2人に微笑んだ。 「困ってなんかないよ。喜んでるよ。魂が狩れるんだから」 そう言う神夜さんの顔は辛そうだったけど、それでも笑っていた。 「そ、っか。ごめん…なさい。でも…私っ……、まだ、死ねない。」 「なんで?」 「私、ね。死ぬ、なら……死ぬなら…………好き、な人に……好きな人に… 好きな人に殺されたい!」 「「はい?」」 私がおかしなコトを言ったのか2人は私をぽかんと呆れてるように見た。 あれ? 今、私なんて言った? 「お前は好きな人を人殺しにするのか。」 私は灰斗さんの言葉で私が何を言ってしまったのかを思い出した。 「雫ちゃんって…そう言う人だったんだ、ね。」 「ち、違っ……」 …完璧に誤解されちゃったな…。 .
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