*ホントは…*

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私は灰斗さんと神夜さんの方に歩いて行った。 「あ。雫ちゃんのお姉ちゃん下行ったんだ?」 「はい」 近くに行くとそう神夜さんが私に聞いてきたから応えた。 ………あれ? 見てなかった…? 「雫ちゃん。俺と灰斗なら、どっちがいい?」 そう聞く神夜さんは真剣だった。 それは「殺されるならどっちがいい?」って聞いてるんだよね…? 殺されたくない。 死にたくなんてない。 私がもしホントに1年後に死ぬとして、それが私の運命なら…その運命を変えたい。 奇跡を起こしたい。 「どちらも、イヤ………、です。」 「だよね。言うと思った。……けど、雫ちゃんにこれ以上生きられたら困るんだよね。」 「死神って…私、ホントに居るなんて思ってなかった。」 「それが普通だ。」 私が話し出すと、灰斗さんが相槌をした。 「それに、居たとしても悪い人…もっと怖い人だと思ってました。」 「それも普通」 「でも………」 そうじゃない。 少なくても今、ココに居る灰斗さんと神夜さんはそんなんじゃなくて……… 「でも…ホントは違いました。 ホントは…今、見た感じでは…灰斗さんと神夜さんは…優しい気がする。悪い人になんて見えないです。 最初は確かに怖かったです。でも…貴方達は優しいです。」 「イヤ、優しくねぇし。 お前、今自分がどんな状況に置かれてんのかわかってんのか?」 「優しいです。それに、自分がどんな状況か位わかってます。」 ホントは優しくてでも、殺さなきゃいけないから…だからホントは優しいのに…わざと人が怯えるようなコトをするんでしょ? 「……お前さー。ウザイんだよ。さっきあったばっかのお前に俺等のなにがわかるんだよ。 知ったかぶりすんな。」 そう言った灰斗さんの表情は無表情だけどさっきまでとは違くなんだか暗い感じで灰斗さんの声のトーンもさっきより低くなった気がした。 「ねぇ灰斗さん、神夜さん。 ホントは殺したくなんてないんでしょ?」 「…殺したいに決まってんじゃん!」 「殺したい。」 嘘だよ、そんなの。 ホントに殺したいならとっくに殺してるでしょ? 窓からだって、私が落ちたくないとか言っても男の人2人だったら楽々、私を窓から無理矢理落とすコトだってできたはず。 灰斗さんが私を殺そうとした時だって待たないで殺せたはず…………なの。 それでも、私を殺さないのはホントは2人が優しいからでしょ…? .
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