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このふたりが恋人同士になったのは約半年前。仕事熱心な鈴那を、上司である加藤が食事に誘ったのがきっかけだった。もともと、鈴那は加藤に好意を持っていて、その時彼に口説かれ、当然のように体の関係を持った。
加藤の恋人になったことで、鈴那は浮かれていた。しかし、加藤は周りにばれると仕事に支障が出るからと、店の従業員には秘密にしようといった。
とはいうものの、仕事中にバックヤードで密かに愛し合うという、なんとも言えない緊張感が、より一層、鈴那の心を加藤へと惹きつけていった。
加藤は女の扱いに馴れている。何をしたら喜ぶのか、どうしたら甘い声を漏らすのかとういうことを熟知していた。それも鈴那を虜にした一因だった。
今日も仕事が終わって別々に会社を出る。ホテルで落ち合うのがいつもの二人のパターン。いつも、先についてしまう鈴那は、加藤が来るのを今か今かと待っていた。
窓の外には色とりどりの綺麗な夜景が広がっている。まるで自分たちの未来を映し出しているように見えて、鈴那はしばらくの間見入っていた。
ウェーブのかかった長い髪を指ですきながら、ベッドに腰掛ける。時刻は午後十一時を回っていた。加藤が来るのが少し遅いと感じていたが、鈴那は浮かれていた。
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