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「かと……さん。だいすき」  二人は欲望のままに交わった。自分が自分ではなくなってしまうんじゃないかと思うくらいに、鈴那は加藤を求めた。  セックスの後、そのまま眠ってしまった鈴那を残して、加藤はベッドを出てスーツに身を包む。 「いい女だが……仕方ないか」  ひとつため息をつき、加藤は呟いた。  いつの間にか外は雨が降っていた。窓ガラスに雨粒が当たっては筋になり、次々と流れていく。滲む街の灯りが揺らめいていた。  頬を撫でる手の感触で鈴那は目を覚ました。 「加藤さん……?」 「話したい事があるんだ」 その言葉に鈴那は体を起こす。下着も何もつけていなかったから、シーツを体に巻いた。 「話したいことって?」 「あぁ、そのままでいいから聞いてくれ」  鈴那はベッドに座り、加藤の言葉を待った。 「桐生、俺たち別れないか? いや、別れて欲しいんだ」
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