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 田舎から出たくて、高校時代は頑張って勉強した。努力が実り、都会の大学へ入ることができた。卒業後は、名のあるアパレル会社に就職して、仕事にも慣れ、恋人もできてこれからという時期だったのに、あっさり切られてしまった。悔しい以外のなにものでもない。 でもなぜだろう……どうしても加藤を恨むことができない。望みなんて欠片もないのに、何か事情があるのではないかという思いが胸から離れない。 「馬鹿な私……」  もうこの部屋にいる意味はない。鈴那は家に帰ることにした。  深夜三時ということもあり、ロビーに人気は全くない。フロントのホテルマンが、こちらに向けて満面の笑みを送っている。鈴那はそれを無視して、足早にホテルをでた。
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