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今晩のメニューは魚の照り焼きに、熟れたトマトが盛り付けられたサラダだった。
トマトはアースの好物だった。
「今日はトマトが安かったのよ。普段より三、四割位安かったかしら。」
この人はアースの母親のミュールさん。
明るく元気で、顔も良いので、近所でも評判だ。
クラスメートにもよく羨ましがられる。
「そういえば、今日は帰りがいつもより遅かったな。何かあったのか?」
でもってこの人がアースの父親のヴィッセルさん。
王族親衛隊をしている屈強な人。
アースが憧れとしている人で、自慢の父親だ。
「うん、それがね世界呪術協会っていう人が来てその人に、魔王があなたに『三ヶ月で禿げる呪い』をかけたって笑っちゃうよね?魔王なんている訳無いのにさ。」
それを聞いた瞬間、父の表情が固まった。
「あなた、どうしたの?」
不安気にミュールが聞いた。
「アース、その話は本当なのか?」
「う、うん。そうだけど・・・。」
いつもと違う父の雰囲気にアースは戸惑った。
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