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―王都セントクォーツ―
その名の通り、セントクォーツは王が政治を行っている、都である。
「さて、来たはいいけど何をしようかな?人間の町なんて来るの初めてだしなぁ」
と魔王ともあろう者が途方に暮れていると、誰かが声を掛けてきたました。
「あれ?旅の方ですか?よかったら町を案内しましょうか?」
声を掛けてきたのは歳は十代半ばの茶髪の少年でした。
「あぁそれは助かるよ。えぇっとアース君。」
「どうして俺の名前を?」
名乗ってもいないのに、ピタリと当てられて少年は驚きました。
「そんなの訳無いよ。僕は魔王だからね。」
普通ここは驚く所だったのですが、少年の反応はというと・・・キョトンとした後、声をたてて笑い出しました。
「面白い冗談ですね。他の街で流行ってるんですか?」
その予想外の反応に魔王はドギマギしていました。
(あれっ?おかしいな、ここは普通驚く所じゃない?)
そう、普通目の前に魔王がいたら目が飛び出るくらい驚くはずです。
魔王もそういうリアクションを期待していました。
(!?もしかして、今の奴らは僕の事を知らないのか?!)
そう約二千年もの間、魔王一族は人間に手を出していなかったので、人々から忘れられていました。
(これは一大事だぞ!急いでなんとかしないと!)
そう思い、魔王は一目散に城に帰りました。
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