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―魔王城―
荒々しく門が開けられ、魔王が帰って来た。
「ヴェイス!一大事だ!」
ヴェイスは本を読んでいたらしく眼鏡を掛けたままだった。
「何事ですか?そんなに慌て。」
気だるそうに返事をしたヴェイスに苛立ち、魔王は逆ギレした。
「そんなに落ち着いてる場合じゃないぞ!さっき行った町の奴は僕の事を知らなかったんだ!」
大声でまくし立てた。
「そんなわけ無いでしょう。きっとからかわれたんですよ。」
「馬鹿!魔王をからかう奴がそういるものか!」
魔王のあまりの慌てっぷりに流石のヴェイスも焦り出した。
「それも無理ないかも知れません。なんだかんだで最後に人間にちょっかい出したのは二千年前ですからねぇ。」
ヴェイスが哀愁を含んだ声で魔王をなだめた。
「えぇ!でも普通忘れる?ありえなくない?」
「忘れちゃったんだから有り得るんでしょうね。」
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