230人が本棚に入れています
本棚に追加
/258ページ
―王都セントクォーツ―
アースは学校の授業を終え、友達と話しながら下校していた。いつも取り留めの無い話しをしている、この時間はアースにとって掛け替えの無い程大切だった。
「そういえば、昨日変わった旅人に会ったんだよ。そいつがさぁ自分は魔王だって、笑っちゃうよな?」
「ホントは本物だったんじゃない?」
「まさか。そんな訳無いだろ?魔王なんている訳ないさ。」
しばらくして、友達と別れたアースは家に着く前に少し寄り道をした。
アースが向かった先は、王都の中央にそびえる時計塔の屋上だった。
まだ小さかった時からこの場所から見る景色が大好きだった。
ちょうど、夕日が沈みかけていた。
「アース様ですね?」
いきなり後ろから声をかけられたので、跳び上がってしまった。
そこに立っていたのは黒いコートを着て、フードを深々と被った見るからに怪しい男だった。
「あなたは誰ですか?」
若干震えた声で聞いた。
「世界呪術協会の者です。先日、魔王様があなたに『三ヶ月で禿げる呪い』をかけました。ご報告は以上です。」
するとそこにいたはずの男が煙りのように消えてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!