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「…どうして?」
わっと泣き出す私に
「馬鹿だなぁ~。俺がそんなことするかよ。千佳ちゃんは人の不幸が密の味って子じゃん。信じるなよ。」
とあっけらかんと祐司は言い切った。
そして
「俺はお前以外の女に興味ないよ」
と当たり前のように笑いながら言った。
千佳は人の不幸を笑ったことなんて一度もない子だ。
もう分かっていた。
私が家にいるのを確認するために何度も連絡してきていたことも、電話の向こうがやけに静かなことも、祐司の声がいつもとは違うことも。
それでも私は
「分かった。疑ってごめんね。大好きだよ」
と言った。
これ以上問い詰めたら、祐司が消えてしまう気がした。
私が一番ならそれでいいと、必死で自分に言い聞かせた。
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