プロローグ

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駅から2分の歩道橋を渡る。 そこにあるのは茶色透明のガラス張りのキレイな建物。 オープンと書かれた札が風によって左右に揺れて遊んでいる。 藍色とピンクのランドセルを背負った小学生たちが、華やかなその場所を思わず目を丸くして覗き込んでいた。 「いい匂いだね」 「コーヒー?」 子供たちの声に気づいてかそのキレイな建物から、似つかわしくない無愛想なお兄さんが顔を出す。 そして子供たちに飴玉を配った。 優しさと顔が一致しないせいでさらに目を丸くする子供たち。 これはこの場所では当たり前の光景。 ちょっと見えないけれど、実はここは優雅な喫茶店なのである。  
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