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「ゆず」
ケラケラ笑いをやめた高ちゃんが急に真剣な表情になる。
ゆず、と呼ぶ声に熱がこもっているのがわかる。
「うん?」
そう首を傾けたあたしの肩を、高ちゃんはそっと引き寄せて抱きしめた。
「俺、10も下のお前に好きになってもらえる自信がなかった。
無表情だし口悪いし、お前に嫌われてたし」
「嫌ってなんかないよ」
「嘘つけ。
この部屋で、お前は俺に大嫌いって言った」
美鈴さんとのやり取りがあった日だ。
あれは高ちゃんが、昨日のことは忘れろって言ったからだ。
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