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「…………ん」
弱々しく高ちゃんの胸を押す。
抵抗じゃない。
苦しくて息ができないから。
けれどそれ以上の力で彼があたしを抱きしめるせいで、あたしの右手は自分と高ちゃんの間に挟まれてしまう。
ふいに右肩をトン、と押された。
キスで骨抜きになっていたのと、油断していたせいであたしはあっさり後ろに倒れてしまった。
「……力抜け。大丈夫だ」
「あたし、初めて……」
「知ってる」
不安げに瞳を揺らすあたしの髪を彼がそっと撫でてくれた。
いつもは無表情の高ちゃんも、今は真剣だ。
そっと、壊れ物でも扱うかのように、彼はもう一度あたしの唇をふさいだ。
そのまま、手はボタンを器用に外し、服を脱がしていく。
「たかちゃん」
「晃紘」
「あ、きひろ……恥ずかし……」
名前を呼ぶのも、この状況も。
すべてが恥ずかしい。
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