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「高ちゃん来たよー」
「またお前か。いい加減高ちゃんはやめろっ!」
カランカラン。
ドアについた鈴がきれいな音をたてる。
その扉の右手にはカウンター。
その中にはイケメン若手のマスターがいる。
「じゃあ名前、教えてよ」
ぶーぶー言うと、うっと言葉に詰まるマスター。
普段、その表情は『無』のせいで彼のそんな顔も楽しい。
あたしがこの喫茶店に来てから、彼は自分が高根という名字であることしか言わなかった。
だから高ちゃん。
恥ずかしいから辞めろと言う割には、高ちゃんは下の名前を頑として言わない変な人なのだ。
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