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貴方の懇願するような声。少し震えるてる僕を抱きしめる腕。
あぁ間違ってしまったのは、僕のせいなのかもしれない。
どうして一言「好き」と「愛している」と言わなかったのだろうか。
貴方は他の誰よりも、僕の愛を望んでいてくれていたのに。
本物だと、気付けなかった。皆のものだと、そう思っていたから。
返せば、きっと捨てられると。そう思っていたのに…。
この間違いは、取り返せるのだろうか?
自分の過ちに顔が、視界が、歪む。ごめんなさい。頭に浮かんだ言葉は貴方の口から吐き出された。
そばにあったぬくもりが離れていく。もう返ってこないかもしれないぬくもりに、初めて自分から動いた。
僕は、貴方を、手放したくは、ない。
縋るように貴方の胸元に飛び込めば、いつも抱きしめてくれる彼の腕は、動かなかった。
あぁ本当に彼が離れてしまう。みっともなくても、滑稽でも、何でもいい。泣いて、縋りつく。
お願い。今度はちゃんと向き合うから。目をそらさないから、どうかもう一度、チャンスを下さい。
誰よりも彼に、貴方に愛を注ぐから。
やっぱりどうしても、貴方が好きなんだ。
「僕は貴方を愛してます。誰より優しく甘い貴方を。」
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