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負のエネルギーの正体、薫に巻き付いた大蛇を生み出しているもの。
増殖させている根元を精神を研ぎ澄ませて真琴は、感じ取ろうとする。
ガードレールの上に小さな足が乗り、腕を組んでいる。
眉間にシワを寄せ、集中する。
重く淀んだエネルギーが、ブクブクと消えぬ泡のように増殖しているのが脳裏を駆け巡った。
じわりと嫌な汗をかく真琴。
やはり、起きてはいけないことが現実になってしまったのだ。
あの時、感じた夕月の異変と負のエネルギーを真琴は軽んじていた。
薫にまで夕月の負のエネルギーが及んでいるとは思っていなかった……
車が何台も勢い良く通りすぎて行く。車のライトに真琴が照らされて、小さな影が映る。そしてまた暗くなり、影が消え去った。
それを繰り返し、暫くの時間が経過した。
負のエネルギーの増殖の仕方は、異様なものだった。
あれは、夕月が現れてからだと今更ながら気付く。
後悔しても遅いとは正にこのことか。と胸が張り裂けそうで、爆発しそうになった。
『ビーズや。わしは、愚かだった。夕月を覚えておるな?あやつが強大な負のエネルギーを誘発させておるのじゃ』
『はい、覚えております。あの方も妖精のようで
したが、あまりにも真琴様と印象が違われるので、おかしいと感じておりました。やはり、あの眼差しは……』
ビーズは、何かを言いかけて、途中で静かになってしまった。
真琴は、遠くを見つめてそのことには気付いていない。意識がこれからのことでいっぱいだったからだ。
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