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春風がこの時代にタイムスリップしてしまってから、四日目が過ぎた。
とくに色々と教えてもらい、少しだけ勝手がわかってきたような気がする。
着物もなんとかひとりで着れるようになった。
髪と帯の結びは毎朝とくに直されてしまうが。
おなし京都やし、日本人やし。
なんとかなる。
不安になるたびに自分にそう言い聞かせる。
最初は戸惑ったものの、ゆきの存在も春風の不安を紛らせてくれた。
ゆきは聡い子で、春風が用を言いつけられて何かしている時は決して邪魔はしない。
傍でじっと春風のすることを見ている。
春風の手が空いた時に寄ってきて、ちょこんと膝の上に座ってしゃべり出す。
かわいいなあ。
姉妹はなかったけど、妹がおったらこんな感じかな。
でもこんな聡い子が鴨川に落ちたやなんて、なんや不思議な気ぃする。
春風はゆきの頭を撫でながら思う。
それにしても今日は暑い。
夕べも寝苦しかった。
京都が暑いのは昔から一緒らしい。
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