第二夜 「子供らしさ」

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「さぁちゃんは、さぁちゃんだよ。」 何か逸らされた気がするが、訊いてもしょうがない、と諦め気持ちを切り替えた。 「…そうだね。 さぁ、お食べ。」 差し出された団子を手に取り、パクリと口に含んだ。 その様子を優しく見守りながら、沖田も団子を手に取った。 味わうように、1口1口噛み締める沙夜は、品のあるお嬢さんのような仕草で団子を食べ進めていく。 沖田はその姿にも目ざとく見ていた。 子供らしさを感じれず、やはり不審だと思う。 「?そーちゃんどうかしたの?」 沙夜は3つ目の団子を食べようと開きかけた口を閉じた。 その声で我に返った沖田は曖昧に微笑んだ。 「いえ、可愛いなぁと…。」 一応言うが、沖田にその気の趣味は無い。 ふふっと笑う沖田に沙夜は、一瞬底冷えするような冷たい目をした。 笑う一瞬の間に、その目をした。 無論、誰も気付いていない。 もしくは沙夜でさえも気付いていないかもしれない。   
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