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声も姿も幼いのに、言ってる事は“子供”とは言い切れないものがある。
こんな事を悟る程に経験は積んできたのだろう。
それは子供と甘えられなくなった可哀想な子の人生観さえ感じられる。
「ったく、ガキのくせにんな事言うもんじゃねぇ・・・。」
お手上げといった感じで肩を窄める土方に、沙夜より早く嬉しそうにする男達がいた。
やはり、子供には甘くなってしまうのは人の性なのだろう。
三人の様子に呆れながらも、土方は考えた。
薄ら寒いあの沙夜の言葉を。
やなご時勢だ、だからこそ変えたい、と。
先程までの鬼気迫る土方の表情はなく、沙夜も安心したように笑った。
「取り敢えず、沙夜良かったな!」
「嬢ちゃんも苦労したんだんぁ・・・。」
藤堂と永倉に囲まれ、沙夜は無邪気に笑う。
その姿を原田は微笑ましく思い、輪に近付く。
「沙夜、頑張れよ。」
原田の笑顔に、沙夜も今日一番の笑顔で返した。
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