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次の日の朝から、沙夜は女中として働く事になった。
沙夜は京に来たばかりなので、今日は町で遊んでもよいと許可が下りた。
そこで、まず屯所の裏にある壬生寺に来た。
「おや?
君は見ない子だね。」
背後からの声に振り向くと、そこには美青年がいた。
こちらを伺う視線をじっと見詰め、ふと沙夜は笑った。
「沙夜だよ。
そこの屯所で女中になる予定なの。」
「おや、君はいくつですか?」
青年は意外そうな表情をした。
「んー…10だよ。
お兄さんは誰?」
小首を傾げ尋ねる小夜に、青年は優しく笑いかけた。
そして、しゃがんで沙夜と視線を合わせた。
「僕は、その屯所で隊士をしている沖田総司です。
よろしくお願いしますね、沙夜ちゃん。」
沖田の言葉に沙夜は数回瞬きをして、その刹那驚きに目を見開かせた。
「あ!知ってるー!
一番隊組長だってへーちゃんが言ってた。」
知っている事を嬉しそうに離す沙夜を見て、沖田はつい頭を撫でていた。
意に介す事無く受け入れ、更に嬉しそうに笑う沙夜に、沖田も癒されるのだった。
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