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「そーちゃん?」
驚いたようにバッと顔を上げ、沖田の姿を確認する。
沖田は心配そうに手を差し出している。
「どこも痛くないですか?」
自分の手を借りて立ち上がる沙夜に沖田は言った。
「大丈夫!
そーちゃんありがとう。」
そしてまた沖田を離れ歩き出す。
沖田は、自分の手からすり抜ける沙夜の手を追うも、軽く離れてしまった。
慌てて小走りに沙夜の後を続く。
不審に思った沙夜は立ち止まり、沖田を振り返るとじっと見詰めた。
「君は危なっかしいから放っておけません。」
そう言う沖田の瞳が一瞬光ったのを、沙夜は見逃さなかった。
あれは、獲物の隙を窺う目だった。
しかし、そんな素振りも見せず笑った。
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