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「それが、さぁちゃんの道なの。」
放たれた言葉の力に驚かざるを得ない沖田。
それでも沙夜の瞳は子供のそれではなく、重い何かを背負ってきた大人のする目だった。
「道…ですか。」
声にしたら、思ったよりか細く響き、動揺は一目同然だった。
「うん。
生きる道であり、必然。」
必然、決まった未来なんて有り得ない。
そう思う沖田には、動揺なんて忘れ不快感が眉間の皺として現れている。
そんな沖田に気付いてか、沙夜は笑った。
さも、これが私の人生だと儚むように。
淡い笑みに、沖田は更に“沙夜”という存在が分からなくなった。
しかし、当の本人は笑うだけ。
逆に沖田の事は知っている、とも取れる笑みに困惑は積もるばかりだった。
「沙夜ちゃんは不思議な子だね。
私には君が謎で仕方ないよ。」
困ったような顔の沖田に、沙夜は1つ笑い、丁度いい温度に冷めたお茶をすすった。
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