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「さっきから沙夜の動向探ってるでしょ?」
何も映さない沙夜の瞳は恐ろしく鋭い。
その上確信のある物言いに沖田は弁解しようにも言葉が詰まる。
「…本当、君は不思議な子ですね。」
「いいの?
不思議という言葉で片付けて。」
まるで、疑えというような物言いに沖田の目は見開かれる。
同時に視界がクリアーになった。
むしろ透明になり過ぎて見えない程に。
「沙夜ちゃん、あなた一体…。」
「さぁちゃんはさぁちゃんだよ。
…帰ろっか。」
残った団子を一気に口に含み立ち上がる沙夜に釣られ沖田も立ち上がり、代金を払った。
そして、自分を待つ沙夜に歩み寄り、自然に手を繋いだ。
何も考えられない。
彼女が分からない。
疑いきれない。
思念は深まり沖田自信を縛る。
不安は一向に消えない。
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