第三夜 「始まり」

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* * * 「芹沢が帰って来た。」 この議論はその1言から始まった。 室内は何とも重い空気が漂っている。 議論は、土方、土方と同じ副長の山南敬介そして局長の近藤勇の3人で行われている。 因みに言うと、芹沢は“筆頭”なので、近藤よりも立場は上だ。 「うーむ…。 どうしたもんか。」 こうも近藤を悩ますのは、芹沢よりも沙夜の事である。 「あの子1人には荷が重過ぎますね。」 山南の思案する声に、土方は思い付いたように顔を上げた。 「総司ならどうだ?」 腕を組んで、真剣な面持ちの土方に、近藤も山南も深く頷いて同意した。   
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