2187人が本棚に入れています
本棚に追加
「総司は芹沢さんと仲が良いからなぁ。」
近藤は、厳つい顔を少し綻ばせ、うんうん頷いている。
それを見て、土方は立ち上がった。
思い立ったら直ぐ行動に移すようだ。
「では土方君、頼みましたよ。」
山南は眼鏡を掛け直し、ほんわかとした口調で土方を見送った。
一般に、土方は鬼の副長、山南は仏の副長と呼ばれているが、対極に見えてこの2人は仲が良い。
いや、互いに信頼し合っているからか、言葉にせずとも先の行動が読める、と言う方が正しいのかもしれない。
「まるで父親だなぁ。」
近藤はそう言い豪快に笑った。
山南も可笑しそうに目を細め、ほくそ笑む。
「いえ、母親でしょう。」
特に沖田との関係は、と言い掛けた言葉を呑み込み、仏のような柔らかい笑みを浮かべた。
近藤は、山南君の方が母親のようだと思ったが、内心に留め尚も豪快に笑う。
最初のコメントを投稿しよう!