第三夜 「始まり」

6/16
前へ
/470ページ
次へ
________ _____ ――‐‐ 土方の話を聞き、見返りに甘味を奢ってもらう事になり満足気な沖田。 真逆に土方はゲッソリしていた。 なにせ、沖田の甘味好きは無類なのだ。 詰まる所食べる量が半端無いのだ。 土方は大きく溜め息を吐き立ち上がった。 そして、視界の端にあるモノが見えた。 とても見覚えがあり、大切に隠し持っていた土方の“弱味” “豊玉発句集” これは土方の発句集だ。 沖田にすれば、ただのネタ帳。 いつも眉間に皺を寄せる土方からは想像も付かない程の可愛らしい詠なのだ。 勿論何度も持ち出し、その度に怒られている。 もはや、恒例の行事と化していた。 その後沖田が土方から逃げまくったのは言うまでも無い。      
/470ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2187人が本棚に入れています
本棚に追加