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沖田が沙夜を見付けた時には既に修羅場と化していた。
射抜く視線を沙夜に向け、鉄扇をまさに今振り下ろさんとしている芹沢。
芹沢の周りには、水戸からの仲間が数人傍観していた。
突然の光景に沖田は唖然とするしか出来ないでいる。
ヤバイ。
なんて分かりつつもコマ送りに鉄扇が振り下ろされる姿を見ていた。
しかし、沖田の危惧はそこまでだった。
鉄扇は沙夜に当たる寸前で止められていた。
一瞬何が起きたか分からずに立ち竦み、直ぐに意識が戻ると壁に身を潜めた。
事の成り行きを慎重に見守り、何かあれば直ぐ動ける位置だ。
身を隠すと、安堵の溜め息が出た。
ここからは声がハッキリとは聞こえないので大人しく聞き耳を立てながら、芹沢の影になって見えない沙夜の様子を伺う。
取り敢えず泣いてない事だけは分かり、1つ心配事が消えたのか落ち着きが戻った。
「…お主、名は?」
「沙夜。」
芹沢は、先程沙夜に興味を持った。
周りはその事に興味を示す。
沙夜自身は怯える事無く芹沢を見据えている。
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