第三夜 「始まり」

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何故芹沢が鉄扇を振り下ろさなかったか。 それは、沙夜が芹沢をじっと冷めた眼で見たからだ。 というのは、怯えず眼だけで止める何か威圧的なモノを感じたという事だ。 そして、止められた鉄扇を見て薄く笑った沙夜に興味を持ったのだ。 「そうか、お主気に入った。 わしは芹沢鴨、ここの筆頭局長だ。」 ニヤリ、と笑んで沙夜と横切って行くと、周りの傍観していた男達も後を追い去って行った。 芹沢等一行が去るや否や、沖田は慌てて沙夜に駆け寄った。 「沙夜ちゃん! 大丈夫でしたか?怪我は? 怖くありませんでしたか?」 矢継ぎ早に捲し立てる沖田に沙夜は目をぱちくりさせた。 あまりもの勢いに何が起きたか分かってないようだ。 しかし、沖田を沖田と認識するとニコリと笑った。 いつもの可愛らしい笑顔だ。     
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