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「んっ…。」
眉をしかめて煩わしそうな声を上げる。
「おい、起きろ。」
土方が不機嫌な声を上げると、少女はうっすら目を開けまどろんでいる。
「…ここ……?」
見掛け通りの可愛いらしい声が少女の口から発せられた。
些か寝ぼけ声の少女に土方は苛付きを覚えるが、大人気ないと堪える。
「ここは壬生浪士組の屯所だ。」
土方はぶっきらぼうに答えると、面倒臭そうに頭をわしわしと掻いた。
少女は、その態度を意に解した風も無く瞬きして眠気を飛ばそうとした。
そこで、自分の空腹に気が付いた。
「お腹空いたぁ…。」
空腹で潤む目を土方に見せ、ねだるように眼尻を下げる。
それには土方も負けたようで、溜め息を零すと立ち上がった。
「食いもん貰ってくる。」
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