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そこに、待ち侘びた土方、もとい食事が運ばれて来た。
沙夜は目を輝かせ、目の前に置かれたお膳で頭一杯になってしまった。
「急いで作らせたんだ、感謝しろ。」
一見冷たい物言いだが、どこか優しさを孕んでいて、土方の不器用さが見て取れる。
それに気付いてかは分からないが、怯える事無く視線を交じらす。
「ありがとう。」
そんな沙夜の態度に土方の方が驚いていた。
面食らった表情で沙夜に釘付けになってしまった。
しかし、当の本人は待ちに待った食事で、そんな土方の様子に気付かない。
沙夜は行儀良く“いただきます”をしてから箸を持つ。
そして、それからはこれ以上ないくらいに口一杯のご飯を詰め込み始めた。
そのがっつき様に土方の目はさらに見開かれた。
そして、土方の手前大人しく様子を伺っていた三人も顎を外す勢いの驚きを見せた。
「ぉ、おい・・・。
んながっつかなくても飯は逃げねぇって・・・。」
たじろぎながらも永倉は沙夜に言う。
そこで土方は三人の存在に気付き面倒臭そうに眉間に皺を寄せた。
だが、沙夜には食べる事しか頭にない。
周りの様子は勿論、永倉が言った言葉なんて耳にも入っていないようだ。
それには永倉も苦笑するしかなかった。
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