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久方の 光のどけき 春の日に しずこころなく 花の散るらむ
日の光がのどかにさしている春の日に、桜の花はどうして落ち着いた心もなく急いで散っているのであろうか――――。
流れる時だけが虚しくも歴史を彩る。
いつか時の一部にならん為に生きる人はどれだけいるのだろう。
名が上がろうとも、永遠とは離れる肉体。
残すのは刹那の思いでいいから誰かに知って欲しい、そんな欲望。
桜は…何で散るのだろうか。
この世に未練を忘れてきたのか。
人の心に響く桜のように、この命を燃やしていく。
きっと、皆そうして世を儚むのだろう。
散らなければ、そんな思い抱かなかったかもしれずに――。
第六夜 了
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