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暫くして、沙夜がお膳を空にすると、それを見計らったように土方が口を開いた。
「んで、おめぇは何もんだ。」
問うでもない強制力を持つ物言いは、子供に向けるそれではない。
見極めるように動作の一つまで探られる感覚を沙夜は肌で感じた。
その空気に見ているしか出来ない三人は土方の行動に怪訝そうな顔をした。
「いくら何でも、こんな子供が間者の訳ないだろうよ?」
沙夜が不憫に思えたのだろう。
原田が土方を制す言葉を紡ぐと、土方は嘆息した。
表情は一層険しくなった。
土方は腕を組み、沙夜を睨み付けた。
三人は沙夜が泣き出すのではないかと、ハラハラと二人を見比べる。
「沙夜だよ。さぁちゃんの名前。」
意味を理解していないような口振りに、三人はホッと胸を撫で下ろした。
顔は真剣で、相変わらず眉間には皺が寄せられている。
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