0+1秒~魔犬は満月の夜に吠える~

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   オカルト、という物が存在する。  それは都市伝説だったり幽霊だったりUFOだったり魔術だったり超能力だったり。この世に存在する科学では証明できないあらゆる物が、これに属する。  オカルトは時に人に危害を加える。しかし科学で――――頭で理解する事のできないオカルトを、人は対処する事ができない。  なら、それを対処するための何かを人が用意するのは、もはや必然的と言えるだろう――――  深夜の深い森の中を、三つの影が走り抜ける。  一つは時雨創太、二つ目は社長と呼ばれた少女、そして最後に――――  「創太っ、どうにかしろ!」  「いやどうしろって言うんですか!?戦車に立ち向かうような物ですよ!!」  二人を追いかけるように走る巨大な影は、木々の枝を紙細工のようにバキボキ折って疾走する。その様子はまるで、黒い竜巻のようだった。  そんな物に立ち向かえる人間なんているはずなく、結果として二人は逃げに徹していた。  「だから嫌なんですよ、こういう相手。言葉がわからないから説得のしようがない!」
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