261人が本棚に入れています
本棚に追加
創太の尤もな意見に、少女は小さく舌打ちする。
「創太、もうすぐ“魔術”が切れそうだ。目的地はまだか!?」
「もう少しです。この速度なら、あと数秒……!」
言いながら、創太達は森の中を“時速四十キロ”の速さで駆ける。
そう、二人を追いかける影が竜巻なら、二人は小さな突風だった。
少女の使った“魔術”という名のオカルトで、創太達は人間には絶対出せない速度で走っていた。
しかし少女が言うには、その“魔術”ももうすぐ切れるらしい。
もし今切れたら、木々と一緒にミンチにされるだろう。
それだけは避けたい……!
もはや少し涙目で、創太は必死に走り、
遂に森を抜けた。
廃墟となった何かの建物の前で二人が止まるのと、“魔術”が切れるのはほぼ同時。
そして、黒い竜巻が二人を襲うのも、ほぼ同時だった。
『グオォォォォオオアア!!』
そう吠えながら、影は人間なんて容易に引き裂ける爪で、二人に襲い掛かる!
当たれば即死する容赦ない一撃に、しかし二人は慌てる事なく左右に別れてそれを避ける。
最初のコメントを投稿しよう!