2章~Another Me~

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「待てよ…そうなると僕は、この漫画の中で一体何の役なんだ?」 その場で思わず首を傾げる。 そう、誰もがこの状況で浮かぶ疑問とは、 とりもなおさずこの事である。 もし、ヒデ以外の人物が今回の様に漫画に閉じこめられた場合、 恐らく、その人物も「自分は、漫画の中の何の役なのだろうか」と思う事だろう。 そもそも、現在完了型でその「漫画」が完成している時、 その漫画の中には、 主人公、母親、父親、近所の知り合い、 どこか歩いてる関連性のない人物………… 全て、作者が設定した"キャラクター"が物語に沿って織り込まれているはずである。 つまりは、そんな「漫画」に閉じこめられたからには、 その人物は、作者の用意した「キャラクター」の何れかに成らなければならない。 既に書き込まれた「漫画」に、内部から書き込むことは、 物理的に出来ないからである。 只、その漫画の「結末」は別として、だ。 だが、そこについては、 今は明かさないでおこう。 とにかく、ヒデが漫画の中にいる限りは、何かの役をしているわけである。 だが、まだヒデは解らない。 普通は解る方がおかしいのだが。 そしてヒデはまた、何処かへと歩いていった。
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