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まだ夜になって間もない頃。
とある商店街。
周りが薄暗くなる。
いつもは人々で賑やかな通りも、暗くなり始めてからは、徐々に減っていき、
最終的に、ほんの4、5人程度しかいなくなった。
そんな中、暗い通りを颯爽と走り抜ける黒い影。
何を急いでいるのか、その影は本屋に入っていった。
何とも老舗にみえる。
今にしては珍しく、木造だ。
ビルやコンビニが立ち並ぶ中、その本屋は一際存在感が溢れていた。
本屋の奥から誰かの声。
「おぉヒデ君かぁ、ぎりぎりだったねぇ」
本屋のおじさんであった。
本屋は、もうじき閉店時間だったようだ。
ヒデは、丁度持て余した本を読み切って、この本屋に新しい本を買いに来たようだ。
ヒデは、無類の本好きで、子供の時からしょっちゅうこの本屋に本を買いに来ていたのである。
その為、ここの本屋のおじさんとは結構な付き合いになる。
「本当に本が好きなんだねぇ、関心関心🎵」
おじさんも感心する程、本の虫なのだ。
「今日は何の本を買いに来たんだい?」
ヒデは、勿論決まっていますと言わんばかりの顔で、
「今日は久々に漫画でも買おうかな、なんてね」
「おやっ、ヒデ君にしては珍しいねぇ」
驚きの顔を隠せないおじさん。
それは無理もない。
ヒデは最近、漫画と言うものを買っていない。
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