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記憶を辿るうちに、一つの答えが弾き出された。
…そう、そうだよ。
まさしく、これは本を見ていた時に見開いていたページの一部分だ。
ヒデは、状況を把握した瞬間、
不思議と緊張感が溶けた。
しかし同時に、不安と恐怖を覚えた。
何故、漫画の中に閉じこめられたのか。
そして何故、閉じこめられたのは僕なのか。
ヒデの頭の中では、
「どうせ夢だろう」と現実的な肯定をする自分、
逆に、「ここが本の中かぁ」と今ある現実を否定しない自分とが対立している。
だが、
人間という生き物は、夢と現実を見分けることが出来ない。
寧ろ、捉えることが出来ない。
夢の中で、
何かその人物にとって衝撃的なことがあっても、そのときの自分は口頭で「こんなの夢でしかない」と言うだろう。
それは正解なのである。
しかし実際そこで終わるほど「夢」と言う物は単純ではない。
「夢」が終わるには、何かしら「結末」が必要なのだ。
その「結末」を見つける事が出来れば話は早い、
だがそうはいかない。
何時その「結末」に辿り着くか、
それが解らないから何時までも「夢」は続く。
結果として、その「結末」の解らない「夢」をリアルに捉え始め、夢か現実か解らなくなる。
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