1章~モノクロ~

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記憶を辿るうちに、一つの答えが弾き出された。 …そう、そうだよ。 まさしく、これは本を見ていた時に見開いていたページの一部分だ。 ヒデは、状況を把握した瞬間、 不思議と緊張感が溶けた。 しかし同時に、不安と恐怖を覚えた。 何故、漫画の中に閉じこめられたのか。 そして何故、閉じこめられたのは僕なのか。 ヒデの頭の中では、 「どうせ夢だろう」と現実的な肯定をする自分、 逆に、「ここが本の中かぁ」と今ある現実を否定しない自分とが対立している。 だが、 人間という生き物は、夢と現実を見分けることが出来ない。 寧ろ、捉えることが出来ない。 夢の中で、 何かその人物にとって衝撃的なことがあっても、そのときの自分は口頭で「こんなの夢でしかない」と言うだろう。 それは正解なのである。 しかし実際そこで終わるほど「夢」と言う物は単純ではない。 「夢」が終わるには、何かしら「結末」が必要なのだ。 その「結末」を見つける事が出来れば話は早い、 だがそうはいかない。 何時その「結末」に辿り着くか、 それが解らないから何時までも「夢」は続く。 結果として、その「結末」の解らない「夢」をリアルに捉え始め、夢か現実か解らなくなる。
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