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「そう。名前ないの?困ったね。それじゃあ、私は用があるので、さようなら」
そう言って私は歩き出した。
スタスタスタスタ…。
スーーーー。
スタスタスタスタ…。
スーーーー。
「ついてくるな!!!」
「なんで?」
「なっなんで??」
なんでってなに?付いてきちゃいけない理由なんてないだろ的なその反応はなに?私が間違っているとでも言いた気なその目はなに。
「なんでじゃないでしょ。私はさようならって言ったの。名前も名乗れないような人と会話する気もないですし…大体からして初対面なのにそんな――。」
ふと彼をみると…今にも泣きそうな顔をしていた。
「ちょっ。ちょっと!泣くことないでしょ?」
「だって名前…本当にないんだもん…。」
「わかった。わかったから!泣かないでよ。」
「じゃあ…話聞いてくれる?」
「聞くから。聞くから。」
なぜ…私はこの男の子をなだめているんだろう…。完全に向こうのペースだ。
よく考えたら、この時から私はもう彼のペースにはまっていたのかもしれない。
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