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「…そうか!よし、なら後はこの目の前の火災を…」
…と、相馬が言いかけた瞬間
ダダダダダンッ!!
突如マシンガンの音が鳴り響き、相馬の隣で消化活動にあたっていた作業服を着た男が悲鳴をあげて倒れた。
「…なッ!?」
不意をつかれ言葉が詰まる相馬。
「だ、大丈夫か!?」
『こ…工場長…』
ダダダダダッ!!
再び鳴り響くマシンガンの銃声。
弾は相馬の頬をかすめ、かろうじて被弾は免れたが…
「ぐはぁ!!」
相馬のすぐ背後で悲鳴が聞こえた。
振り返ると、先ほど木原という名の人物の避難報告をしてきた作業服の男に流れ弾が直撃していた。
不運にも撃たれた二人は共に急所を打ち抜かれていた。
しかし、叫ぶ暇も同情する暇もない。
相馬はすぐさま走り出した。
ダダダダダッ!!
容赦なく聞こえてくる銃声。
頭で考えるよりも先に体が反応する。
迫りくる死への恐怖。
相馬の生へのすがる本能が二人の部下の死というショック状態を一時的に凌駕していた。
「(あのままあそこで呆けていたら俺も…!)」
相馬はひたすら走った。
足を止めたらその瞬間に蜂の巣にされてしまうであろう…理不尽なこの銃弾の雨の中を。
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