その手を引く者などいない

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クザンや八条が所属しているアンチスキル… それは、学園都市における警察的組織の一つであり、次世代兵器で武装した教員で構成されている組織である。 中には、基本は軍人及び軍所属者が学園都市の都合上仕方なく教員免許を取得したという者もいる。 彼等は超能力を持たないが、暴走した能力者を取り押さえられるようかなり強力な武装が許されている。 しかし、クザンはどう見ても教員という歳には見えない。 どんなに歳をごまかしたところでせいぜい大学生というのが限界だ。 その謎を解く手掛かりは「未確認災害対策部」というアンチスキルの部署の一つにありそうだ。 「……分かりました。それではこれから現場に急行します」 …ピッ 八条との電話を終えたクザンは、深く深呼吸をして両手で自分顔をパンパンと叩いた。 「よし、行くか。もしかしたら奴が来ているかもしれないしな…。芳香、行ってくるよ。今日こそお前の仇をとってくる」 芳香の墓前で誓いをたてるクザン。 間もなくして遠くからバイクのエンジン音が聞こえてきた。 音から察するにかなりのスピードだ。 「お、亜希子(あきこ)か。相変わらずタイミングが良いんだか悪いんだか」 一人笑みをこぼし呟くクザン。 キキーーーッ!! 猛スピードで走ってきたバイクが墓地の入口で急ブレーキをかけて停止した。 クザンはすぐさまバイクへ駆け寄る。 「よう、亜希子。相変わらず壮快にスピード違反してるな」 『私はアンチスキルよ、しかも未確認対策部の特務課のね。この程度の事、上が黙認してくれるわ』 相変わらず無茶苦茶な…。 クザンはそう心の中で呟いた。 『…やっぱり、ここに来ていたのね』 「あぁ…。俺は何をやっているんだか、ここに芳香はいないって分かっているのに…」 亜希子の言葉にうつむくクザン。 『あの事件はホント…』 「いや、いいんだ亜希子。過ぎたことを悔やんでも仕方ない、今は急ごう。人命がかかっている」 『…そうね、でも…あまり無理はしないでね』 「ふん、俺を誰だと思ってる」 『はいはい、そうですね…』 そう言うと亜希子は「くすっ」と笑った。 『学園都市230万人の頂点、7人しかいない超能力者(レベル5)の第六位…、鈴科(すずしな)クザン君』
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