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「リーチ。」
不意に夜叉は、リーチを宣言した。
それに対して焦ったのは、利乃だった。
何故か。
それは簡単だ。
利乃は今のところ一位とはいえ、夜叉の上がり牌を何時も出していたのは利乃なのだ。
(頼むから俺で上がらんといてや。)
そんな事を心の中で祈ってしまうのも仕方ないだろう。
妙に緊張した中、各々が牌を出していく。
利乃の一萬はセーフ。
利希夜の南はセーフ。
蒼空の中は…
「ロン。俺の勝ち♪」
夜叉が上がってしまった。
リーチ一発の大三元。
ドラ三だ。
当たってしまった蒼空。
(……マジかよ…。)
親は蒼空で、当たったのも蒼空だ。
蒼空は自分の運の無さを恨んだ。
大幅に点数を取られた蒼空は最下位が確定し、夜叉の一位は確定した。
「やった。勝った。じゃあ、蒼空。夜魅が作った服着て♪」
明らかに嫌そうな顔を示す蒼空に、夜叉は気にした様子もなく告げると、近くで見ていた夜魅から服を貰い、蒼空に渡した。
その服はピンクに白のフリルをつけた、女の子らしいフリフリのワンピースだった。
男らしい格好が大好きな蒼空には拷問のようなお願いだった。
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