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黒いシャツに黒いズボンを穿いてベッドに横になっている夜叉と、その横で夜叉を心配そうに見る黒い着流しを着た黒。
腰より長い銀の髪に銀の目で着流しを着た黒はハッキリ言ってカッコいい。
そんな黒が今は整った顔を歪め、心配そうに夜叉を見ている。
(夜叉の絶望が増えておる。早く何とかせねば…。)
黒は夜叉の胸の辺りに手を翳すと、力を使い始めた。
夜叉の絶望を自分に移そうとしているのだ。
勿論、そんな事をすれば黒の心は絶望に染まり、以前のように人を絶望に落とし始めるだろう。
最悪の場合、自分が呑まれるかもしれない。
それを承知で黒は夜叉から絶望をとろうとしているのだ。
「ん…?…黒?………な、何やってるんだよ!?」
途中目が覚めた夜叉が抵抗し、止めさせようとするも黒は止めようとしなかった。
(堕ちるのは妾一人で良い…。)
そんな事を思って。
「黒!!止めろ!!」
いくら夜叉が言っても、黒は止めようとしなかった。
いつもは夜叉の言うことを良く聞くが今は聞こうとしない。
そこからも覚悟の念が伝わってくる。
「じっとしておれ。夜叉。直ぐに終わる。」
暴れ、止めさせようとする夜叉を黒はいとも簡単に拘束し、力を使い続けた。
「……後で絶対取り返すからな!!」
そんな夜叉に返事もせず、大半の絶望を取り終えた黒は夜叉を置いて自分の部屋に帰っていった。
残された夜叉は心が先ほどより沈んでない事を理解してはいたが、黒の身を案じてやまなかった。
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