白昼夢

どうやら平助は、雪村に兄と呼ばれ照れているらしい。
…兄と呼ばれるのは、嬉しいものなの…か…。

『…そ、総、総司、に…にい…兄さん……』

『『『！！！！！』』』

『おい、斎藤今なんて！』

皆が目を丸くして俺を見る…何故に…俺はおかしな事を言ったのだろうか…

『一くん、今僕を呼んだ？』

『…あぁ、総司兄さん…』

『あ、あの、は、一くんが総司を兄さんって呼んだ！！』

『マジかよ！斎藤どうしたんだ？熱でもあるのか？』

『いや…至って健康だが…』

平助も左之も俺を、見て唖然としている…、が何故、俺が兄と呼んではイケないのだろうか…
兄は兄と呼ぶのが、良いのでは無いのか…分からん…

『まぁまぁ、良いじゃねーか！みんな打ち解けたみたいだし。』

『ふっふっふ…そうだね、でも一くんが僕を兄さんって呼ぶとは、以外だったけどね…ふっふ…』

『何がおかしい』

『…別におかしくないよ…ふっふっふ…さてと、そろそろ巡察に行かなきゃ』

『おい、待て総司』

俺の言葉に耳を貸すことも無く襖を開け、外に出ていった。

『土方さんに怒鳴られる前に、仕事に戻るとすっかな』

『あぁそうだな』

そう言い、新八と左之は立ち上がり、部屋を出ていった。平助はと言うと…

『…千鶴が兄さんって呼んだ…俺が兄貴…千鶴の兄…貴…なんだか照れるなぁ…。』

何やら上の空らしい。

『平助！』

『…千鶴の兄貴か』

『おい！平助！！』

『！！なんだよ、一くん…って皆は？？』

『隊務に戻った…お前も戻れ』

『マジ！いつの間に！』

何やら覚束ない足取りだが、部屋を出ていった。
俺も自室に戻る事にした…

…土方さんも兄と呼ばれたら、喜んでくれるだろうか…